作品詳細
- Title:乗興舟 (Happy Improvisations on a Riverboat Journey)部分
- Date:1767
- Medium::紙本拓版 1巻
- Dimensions:28.7×1151.8cm
作品解説
「乗興舟」は大典顕常と若冲が京都・伏見から大坂・天満橋へ向かう船旅の記録です。
季節は春、所要時間は6時間ほどで、昼前に京都を発ち、大坂に夕方着いたと推測されます。
①
伏水(=伏見)口
舟程 霽気に逢ひ
春日 清波に照る
(船出は好天気に恵まれ、
春の陽射しが
きれいな川波に映っている)
②
長堤 千樹の松
箇々 翠影を涵す
(長い堤には
あまたの松が並び、
一本一本が
その青葉を水面に映す)
③
千家 淀水に臨み
橋上 往来通ず
(多くの家々が
淀川沿いに建ち並び、
橋の上には
道路が通っている)
④
澱城(=淀城)
行々看れども厭はず
遠く上れば孱顔列す
(進み行く舟から
ずっと見ていても
飽きが来ない、
遠くに視線を馳せて
上に向けると
高い山並みが続く)
⑤
山崎
八幡
神廟 崔嵬に倚り
千秋 元祀粛たり
(神廟[=石清水八幡宮]が
嶮しい山中に建っていて、
古来その大祭は厳粛である)
※漢詩の現代語訳は『若冲ワンダフルワールド』に拠っています。