作品詳細
- Title:乗興舟 (Happy Improvisations on a Riverboat Journey)部分
- Date:1767
- Medium::紙本拓版 1巻
- Dimensions:28.7×1151.8cm
作品解説
⑪
水光 夕日を含み
樹色 春烟を帯ぶ
(水面には夕陽がきらめき、
木々は春の靄に包まれている)
布帆 去鳥の外
茅屋 疎林の間
(飛び交う鳥の向こうに白帆が見え、
森の奥には田舎家が見える)
鳥飼
⑫
山色 高低ありて蒼靄遠く
人家 断続して炊烟 閒なり
(高低の山並みに蒼い靄が
いっそう遠くに見え、
とびとびに建つ人家からは
炊事の烟が静かに立ち上る)
達堂
⑬
長空と積水と
一望すれば総て悠然
(上には大空、
下には水面が広がっていて、
どこを眺めても
さえぎるものとてない)
⑭
行々何れの処の客ぞ
酒を売るの家に逢ふを待つ
(どこから来た旅人か、
一杯呑ませる店を探している)
⑮
落日 西風起り
相呼べば席を揚げて来る
(日が沈みかけて
西風が吹き始め、
岸辺の人が船頭に声をかけると
帆を上げて舟を寄せる)
※漢詩の現代語訳は『若冲ワンダフルワールド』に拠っています。