乗興舟 (Happy Improvisations on a Riverboat Journey)4


伊藤若冲 乗興舟


伊藤若冲 乗興舟


伊藤若冲 乗興舟


伊藤若冲 乗興舟


伊藤若冲 乗興舟

作品詳細

  • Title:乗興舟 (Happy Improvisations on a Riverboat Journey)部分
  • Date:1767
  • Medium::紙本拓版 1巻
  • Dimensions:28.7×1151.8cm

作品解説


長柄

白葛 平沙に曝し
春風 尚ほ雪かと怯ゆ

(白い布地が
平らな砂地にさらしてある、
春風がひんやりするのと相まって
雪景色かと見まがう)


鳧鷖翩々として
載ち翔り載ち泳ぐ

(カモとカモメとがひらひらと、
空を飛んでいたかと思ったら
今度は水上を泳いでいる)


僧房 深樹に隠れ
金磬 斜暉を報ず

(僧房は木立の奥に隠れ、
鐘の音にはっとすれば
もう夕陽が沈みかけている)

源八渡

遨遊す 江郭の外
歌管 楼船に起る

(城下町を出て
船遊びを楽しむのか、
歌や楽器の音色が
屋形船から漏れてくる)


春水 城港に連なり
閭閻 坐ながらにして自から移る

(春のたっぷりした川水は
城下の港まで流れて来て、
郊外の村里は
どんどん後景に退いて行く)


虹橋 三百尺
来りて繋ぐ幾千の舟

(虹のように湾曲した天満橋、
その下にはあまたの舟が
もやってある)

若冲画

丁亥の春、余と景和と浪華に赴く。
舟中見る所に随つて図を作る。余は則ち短辞を題するも、
皆章を成すに及ばず。亦た一時の乗興なるのみ。

太真

(明和4年[丁亥は明和4年の干支]の春、私と景和[=若冲]とは大坂に向かった。彼は舟の中から見えたものを次々に絵に描いた。私は短い詩句をその絵に付けたが、どれも一首の詩として完成するには至らなかった。これもまた興に乗じてのことである。)

太真[=大典の画号のひとつ]

※漢詩の現代語訳は『若冲ワンダフルワールド』に拠っています。

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