作品詳細
- Title:乗興舟 (Happy Improvisations on a Riverboat Journey)部分
- Date:1767
- Medium::紙本拓版 1巻
- Dimensions:28.7×1151.8cm
作品解説
⑯
長柄
白葛 平沙に曝し
春風 尚ほ雪かと怯ゆ
(白い布地が
平らな砂地にさらしてある、
春風がひんやりするのと相まって
雪景色かと見まがう)
⑰
鳧鷖翩々として
載ち翔り載ち泳ぐ
(カモとカモメとがひらひらと、
空を飛んでいたかと思ったら
今度は水上を泳いでいる)
⑱
僧房 深樹に隠れ
金磬 斜暉を報ず
(僧房は木立の奥に隠れ、
鐘の音にはっとすれば
もう夕陽が沈みかけている)
源八渡
遨遊す 江郭の外
歌管 楼船に起る
(城下町を出て
船遊びを楽しむのか、
歌や楽器の音色が
屋形船から漏れてくる)
⑲
春水 城港に連なり
閭閻 坐ながらにして自から移る
(春のたっぷりした川水は
城下の港まで流れて来て、
郊外の村里は
どんどん後景に退いて行く)
⑳
虹橋 三百尺
来りて繋ぐ幾千の舟
(虹のように湾曲した天満橋、
その下にはあまたの舟が
もやってある)
若冲画
丁亥の春、余と景和と浪華に赴く。
舟中見る所に随つて図を作る。余は則ち短辞を題するも、
皆章を成すに及ばず。亦た一時の乗興なるのみ。
太真
(明和4年[丁亥は明和4年の干支]の春、私と景和[=若冲]とは大坂に向かった。彼は舟の中から見えたものを次々に絵に描いた。私は短い詩句をその絵に付けたが、どれも一首の詩として完成するには至らなかった。これもまた興に乗じてのことである。)
太真[=大典の画号のひとつ]
※漢詩の現代語訳は『若冲ワンダフルワールド』に拠っています。