『神と仏の出逢う国』を読む ①

『神と仏の出逢う国』鎌田東二

神道

「神=かみ」とは、神性、神威、神格、霊性、霊威、霊格を総称する「神聖フォルダ」。
すごいと思えるものはなんでも「神」になりうる。

    • 自然現象、自然物を対象とする自然神
    • 動物を対象とする動物神
    • 神功皇后や菅原道真など人物を対象とする人物神

ラフカディオ・ハーンが指摘した四無主義・・・教祖ない、教義ない、教典ない、教団ない

ちはやぶる

『万葉集』で「かみ」にかかる枕詞。
「ち」は霊威・霊格と同じ語。「ち」という霊威のある神聖エネルギーが、猛烈な速さ(はや)で振動し運動している(ふる)状態が、「カミ」にふさわしいもの・こと。
「命」とは「生きたチ、息をするチ」を意味する言葉。

日本神話の中で最も暴力的といえる神であるスサノヲは、典型的な「ちはやぶる」神である。

勝川春亭「素戔嗚尊と山田大蛇」
素戔嗚尊と山田大蛇

『古事記』『日本書記』『風土記』

『古事記』

712年編纂。伝記を記した「旧辞」と歴代天皇の事蹟を記した「帝紀」が中心。物語性、伝承性が強い。秘密文書的な性格。
冒頭に登場する神は天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、高御産巣日神(たかみむすひのかみ)、神産巣日神(かみむすひのかみ)

『日本書記』

720年編纂。日本初の公式文書で「日本」という国柄を強く意識。
冒頭に登場する神は国常立神(くにのとこたちのかみ)、国狭立尊(くにのさたちのみこと)、豊斟渟尊(とよくむぬのみこと)

『風土記』

土地の神話、伝説、風習、習俗などについて書かれた郷土史的書物。
『出雲国風土記』『播磨国風土記』『肥前国風土記』『常陸国風土記』『豊後国風土記』の5つが現存する。
『出雲国風土記』には記紀神話と異なる神話が多く記載(出雲国は八束水臣津野命(やつかみずおみつのみこと)が朝鮮半島の方から引き寄せた等)。