「生誕300年記念 若冲展」(東京都美術館)②

2F 画遊人、若冲(2)

「仙人掌群鶏図襖絵」、「蓮池図」など。

全長約11メートルの「菜蟲譜」は、全部開いて見せてくれるというサービス!状態だったのですが、並んで最前列で見るパワーは残ってなかったので、人の後ろからのぞき見のみ。残念無念。

「菜蟲譜」部分
菜蟲譜10-002

六曲一双の「石灯籠図屏風」。
幅363cmの大作で、灯籠のドット模様もかなり大きめ。

「石灯籠図屏風」部分
Jakuchu_Stone Lanterns-001

植物には病葉を欠かさない若冲らしいというか、壊れた灯籠も描かれています。

手前の石灯籠と遠景の山並みのあいだの靄がかかっているところには、何があるのか?

実は灯籠一つ一つが妖怪だったりして(水木しげるの世界?)、とふと思ったりするような、現実離れした不思議な雰囲気の作品です。

2F 米国収集家が愛した若冲

こちらのコーナーは、ほぼエツコ&ジョー・プライスコレクション所蔵の作品。

「鳥獣花木図屏風」部分
Jakuchu_Birds Animals-01

桝目書きの手法で描かれた作品でも、この「鳥獣花木図屏風」と「樹花鳥獣図屏風」(静岡県立美術館蔵、今回未出展)は、真贋、説が分かれるところです。

確かに、「鳥獣花木図屏風」はモチーフの形や色の塗り方、構成などに、若冲っぽくない点があります。

若冲お得意のニワトリが、「あれっ?」というフォルムをしています(「樹花」の方はそうではない)。

2Fはもうじっくり作品を味わう気力がなくて、さらっと見るだけになってしまいました。

後期のみ出展の「果蔬涅槃図」も見たいし、再訪するかもしれません。

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NHK「いのちのミステリー」によると、若冲は「鳥獣花木図屏風」を制作するにあたって、ゴットフリートの『史的年代記』を参考にした可能性があるそうです。

蘭学者の大槻玄沢がこの本を所蔵しており、若冲は大槻玄沢と親交のあった木村蒹葭堂を介してこの本を見る機会があったかもしれないとのこと。

画面の周囲の木はなんの木なのかなァ?と思っていたのですが、「アダムとイブ」のリンゴの木を真似したものと思えば納得です。

また、桝目は色の反射率の違いを利用して、光の当て方によって別の見え方になるそうです。

追従者や贋作者がそんな工夫をするとは思えないので、それならば真筆なのかなと思いますね。

若冲展に関するブログを見ていると、混雑具合がとんでもないことになってるみたいなので、後期は諦めます。(5/16記)

伊藤若冲についてはこちら

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