『優しいおうち 古民家再生物語』を読む

「優しいおうち 古民家再生物語」(森久美子)
「優しいおうち 古民家再生物語」(森久美子)

古民家再生にかかわる大工を主人公にした短編集。
みんな親が大工だったり、家業が材木店だったりで、この世界は無関係なところから飛び込むのは難しいのかなと思ってしまう。

ところで、第一話で「結」の話がでてきて「おおっ」となった。

「結」の語源は、結う、結ぶ、結合、共同などを意味し。地域社会内の家相互間で行われる対等的労力交換、相互扶助をいう。農山村では屋根の葺き替えの際、茅を切出し束ねるなどの作業は「として、田植えや稲刈りなどと共によく行われていた。
手間借りは「結」における労力交換で、多くの場合、働き手として出動する個人の労働力の強弱はあまり問題とされない。一方、一人前の人間が一日提供してくれた労力に対しては、必ず一日の労働で返すことが基本で、金銭や物で相殺することを許さない点に特徴があった。

『あいたくてききたくて旅にでる』で読んだ通り。

なぜ「結」は基本的に「労働には労働で返す」もので、「金銭や物で相殺できない」ものになってしまったのだろうか。