クラーナハ展―500年後の誘惑(国立西洋美術館)

今年はボッティチェリとかカラヴァッジョとか、もう当分その名を冠した展覧会は見られないような展覧会がいくつもありましたが、最期を飾ったのがこの「クラーナハ展―500年後の誘惑」。


ルカス・クラーナハ (父) 「ヴィーナス」
1532年 シュテーデル美術館
Lucas Cranach the Elder “Venus”
Städel Museum

NHKの日曜美術館「謎のヌード クラーナハの誘惑」によると、この裸体は人体が正確には描かれておらず、さまざまなパーツが歪められているそう。

当時の女性の髪形+アクセサリー、覆いの役割を果たしていない(というより視線を誘導する)ヴェール、少女体型、etc.・・・もう、これ、全然ヴィーナスじゃないですから!

注文主がプライベートな空間に飾ってニマニマするための絵。


ルカス・クラーナハ (父) 「ホロフェルネスの首を持つユディト」
1525/30年頃 ウィーン美術史美術館
Lucas Cranach the Elder “Judith with the Head of Holofernes”
Kunsthistorisches Museum

クラーナハは、同じモチーフを何度も繰り返し描きました。
「ホロフェルネスの首を持つユディト」もその一つですが、この作品が一番の傑作です。

数年間の修復後ということで、肌の色が輝くばかりの美しさ。

こういう髪とか服の模様の線描がすごく好み~!

クラーナハというと、蠱惑的な女性を描く画家というイメージしかなかったのですが、ザクセン選帝侯の宮廷画家、大工房の経営者で、多くの肖像画を手掛けていました。

この展覧会にも、ザクセン選帝侯ヨハン・フリードリヒ寛大公や神聖ローマ皇帝カール5世などの肖像画が展示されています。


ルカス・クラーナハ (父) 「ザクセン公女マリア」
1534年 リヨン美術館
Lucas Cranach the Elder “Princess Maria of Saxony”
Musée des Beaux Arts de Lyon

服の切れ込みは16世紀に流行していた「スラッシュ」。

「ホロフェルネスの首を持つユディト」では、手袋にもスラッシュが入っていて指輪が見えています。

マルティン・ルターとも懇意にしていて、いかにも厳格な宗教者然としたルターの肖像画も残されていますが、ルターは親友の描く絵をどう思っていたのやら。


ルカス・クラーナハ (父) 「正義の寓意(ユスティティア)」
1537年 個人蔵
Lucas Cranach the Elder “Allegory of Justice”
Private collection

ここでもあからさまな視線の誘導が^^;;

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