作品詳細
- Title:マネとマネ夫人像
- Artist:エドガー・ドガ
- Date:1868-1869年
- Dimensions:65×71cm
- Medium:油彩、カンヴァス
- Collection:北九州市立美術館
作品解説
1862年、ドガが28歳の時に、ルーヴル美術館のベラスケスの絵の前で2歳年上のマネと出会います。
ドガはマネに連れられてカフェ・ゲルボアに行き、その後足繁く通うようになります。引っ込み思案で人付き合いの苦手なドガと、社交的で若い画家たちのカリスマ的存在だったマネ。
ドガが30代なかばの頃、ドガとマネは互いに絵を描いて交換することになり、そのときドガはこの『マネとマネ夫人像』を贈りました。
しかし、マネはドガの描いた夫人の顔が気に入らず、絵を切断してしまいます。後日、マネの家を訪問したドガは、絵が切られていることを発見し、怒って絵を取り返しました。
従来、ドガがもう一度夫人を描くつもりで下塗りしたカンヴァスを継ぎ足したとされていました。しかし、ドガの晩年、絵が切られたままの状態で額装されて飾られている写真が見つかり、キャンバスを継ぎ足してドガのスタンプを押したのは、ドガ本人ではなく、画商か誰かがやったことのようです。
当時マネは弟子であるベルト・モリゾと不倫関係にあったともいわれ、モデルを美化することなく描くドガによって、冷えきった夫婦仲が読み取れるような絵になっていたのかもしれません。
マネの妻はマネが18歳の時に、マネ家にピアノの教師として雇われたオランダ人のシュザンヌ・レーンホフで、マネよりも2歳年上でした。シュザンヌとの結婚は父親の反対にあい、2人が結婚できたのはマネが31歳の時でした。
一方、マネと同じくブルジョワの出であるベルト・モリゾは、ルーブル美術館で絵の模写をしていた時にマネに出会い、モデルを依頼されます。このときマネ36歳、モリゾ27歳。以後、モリゾはマネのアトリエに出入りするようになり、印象派の重要メンバーとなります。
この絵はモリゾが31歳の時のものです。
1874年にモリゾがマネの弟ウージェーヌと結婚した後、マネはモリゾを描いていません。
モリゾはドガとも親交があり、偏屈者のドガも、モリゾの前では礼儀正しかったという逸話が残っています。