作品詳細
- Title:桜下弾弦図屏風 Young Women under a Cherry Tree in Full Bloom
- Date:寛永期、江戸時代 Edo period
- Medium:二曲一隻 紙本著金地著色 Two panel screen Color on gold leaf background paper
- Collection:出光美術館 Idemitsu Museum
本図も満開の桜の下、おそらくは妓楼の一角での「遊楽図」であろう。
遊女たちが手にする三味線・手紙は、あるいは「琴棋書画」の琴と書に見立てているのかもしれない。
三味線を弾く女性と長煙管を持つ女性、文を読む女性と墨をする禿とはそれぞれ呼応するような位置に描かれている。
それぞれの女性の額にかかるほつれた前髪や細緻な衣装の文様に見る執拗な描写態度には、作者のなみなみならぬ女性への関心の強さがうかがわれる。遊楽そのものの様子にむしろ関心があった「邸内遊楽図」とは異なり、遊楽にふける女性に関心が向けられているのを知る。これは、近世風俗画の展開を物語るものである。つまり、遊楽のかたちから遊女の姿態へと向かう展開である。本図の描かれた寛永期を過ぎると、遊女の姿態への関心はさらに高まり、やがて「寛文美人図」へ、「浮世絵美人図」へと進むのである。
本図の顔貌表現には、岩佐又兵衛風の特徴が認められる。おそらく作者はその強い影響を受けた絵師であろう。
『出光美術館蔵品図録 風俗画』
遊女たちが手にする三味線・手紙は、あるいは「琴棋書画」の琴と書に見立てているのかもしれない。
三味線を弾く女性と長煙管を持つ女性、文を読む女性と墨をする禿とはそれぞれ呼応するような位置に描かれている。
それぞれの女性の額にかかるほつれた前髪や細緻な衣装の文様に見る執拗な描写態度には、作者のなみなみならぬ女性への関心の強さがうかがわれる。遊楽そのものの様子にむしろ関心があった「邸内遊楽図」とは異なり、遊楽にふける女性に関心が向けられているのを知る。これは、近世風俗画の展開を物語るものである。つまり、遊楽のかたちから遊女の姿態へと向かう展開である。本図の描かれた寛永期を過ぎると、遊女の姿態への関心はさらに高まり、やがて「寛文美人図」へ、「浮世絵美人図」へと進むのである。
本図の顔貌表現には、岩佐又兵衛風の特徴が認められる。おそらく作者はその強い影響を受けた絵師であろう。
『出光美術館蔵品図録 風俗画』