作品詳細
- Title:四使徒
- Artist:アルブレヒト・デューラー
- Date:1526年
- Dimensions:215.5×76cm(左)、214.5×76cm(右)
- Medium:油彩、板
- Collection:アルテ・ピナコテーク、ミュンヘン
作品解説
『四使徒』は、デューラーの油彩画の代表作で、宗教改革で激動していたドイツで権力者が正しい行動をするよう「この危機の時代における全ての地上の統治者たちは、人間の惑わしを神の言葉ととらないように注意せよ」という銘文を添えて、完成後にニュルンベルク市に寄贈されました。
使徒とは、通常、イエスが弟子たちの中から特に選んだ12人を指します。12人はイエスの昇天後、各地に散らばって伝道を行いました。
しかし、使徒という言葉は後世になって拡大解釈され、この絵に描かれているパウロも使徒と呼ばれるようになりました。
この絵は2枚で構成され、左に聖書を持つヨハネ、鍵を持つペテロ、右に剣と本をもつパウロ、巻物を持つマルコが描かれています。
エンペドクレスの四大元素説から人間も四つの気質があると考えられており、この4人は風貌や色彩で以下を表していると考えられています。
- ヨハネ=多血質(楽天的)
- ペテロ=黄胆汁質(短気)
- マルコ=粘液質(鈍重)
- パウロ=黒胆汁質(憂鬱)
ヨハネはルターの訳したドイツ語の聖書を持ち、デューラーが宗教改革を支持していることを表しています。
また、カトリックではペテロとパウロが使徒の中で最も重要視されていたのに対し、ヨハネが前に描かれているのもプロテスタントらしい新しい表現です。
しかし、プロテスタントは華美な装飾を嫌ったため、結果的にドイツ美術にダメージを与えることになりました。