作品詳細
- Title:マドンナ
- Artist:エドゥアルド・ムンク
- Date:1895-1902年
- Dimensions:66.5×44.2cm
- Medium:リトグラフ
- Collection:大原美術館
作品解説
『マドンナ』は、ベルリンの「黒豚亭」という居酒屋に集まるグループのミューズ的な存在であったダグニー・ユールがモデルです。ノルウェーの首相一族であるダグニーは、その美貌と奔放な言動でグループのメンバーの憧れの的でした。
ムンクはダグニーに想いを寄せていましたが、ダグニーはグループのメンバーのブシビシェフスキーと結婚します。夫がいても奔放な生活をしていたダグニーは、後に愛人であるロシアの青年に撃たれて死ぬことになります。
ムンクは『マドンナ』というタイトルの作品を1893年頃から多数制作しましたが、これらの作品に描かれた女性は「マドンナ」=聖母のイメージとは程遠いものです。
左隅の胎児と周囲を縁取る精子や、女性の恍惚とした表情から、生・性がテーマのようでありながら、死を感じさせる不吉な雰囲気もたたえています。
女性を美の対象として神聖化する一方、男性を誘惑して破滅に導く「ファム・ファタール」と捉えていたムンクの女性観が色濃く反映されています。