作品詳細
- Title:スクロヴェーニ礼拝堂①「ヨアキム伝」「聖母マリア伝」
- Artist:ジョット
- Date:1304-1305年
- Dimensions:間口841cm×奥行2090cm×高さ1265cm
- Medium:フレスコ
- Collection:スクロヴェーニ礼拝堂、パドヴァ
作品解説
スクロヴェーニ礼拝堂は、パドヴァの資産家エンリコ・スクロヴェーニが自分と妻の墓所として建立した礼拝堂です。
古代の円形闘技場(アレーナ)跡地にあるため、アレーナ礼拝堂とも呼ばれます。
エンリコの父レジナルドは、ダンテの「地獄篇」第17曲にも登場するほど強欲な高利貸しだったため、その贖罪の意味もあったと考えられています。
天井や絵の背景にラピスラズリを顔料とする高価なウルトラマリンブルーが使われ、当代一の画家ジョットに装飾を依頼したことからも、エンリコがこの礼拝堂に非常に力を入れていたことが伺えます。
エンリコは聖母マリア騎士団に所属しており、この教団は礼拝堂の第2の出資者だったため、礼拝堂の装飾も聖母マリアに大きくスペースをとっています。
礼拝堂内部はすべて彩色されており、壁面は上下4段に分割され、各物語は同じ段で進行するように描かれています。
最上段に「ヨアキム伝」「聖母マリア伝」、中央2段に「キリスト伝」、最下段に「美徳」と「悪徳」の寓意像、西壁に「最後の審判」が描かれています。
「聖母マリア伝」はジェノバの大司教ヤコブス・デ・ウオラギネの「黄金伝説(レゲンダ・アウレア)」から主題をとっています。
身廊の壁画は、「ヨアキム伝」の『神殿から追われるヨアキム』で始まります。ヨアキムは聖母マリアの父で、妻はアンナです。2人には子どもがなく、子孫を残す神への義務を怠っているとされて神殿から追い出されます。
フレスコのジョルナータを数えることで、その場面を描くのに要した最低日数を知ることができますが、この場面には少なくとも13日を要しています。
ヨアキムが山の羊飼いのところに身を隠している間に、アンナは天使から子どもができることを告知されます。
エルサレムに戻ったヨアキムはアンナと金門で出会います。ここで南壁最上段は終わります。
次に続くのが、北壁の「聖母マリア伝」です。
両親は3歳になったマリアを神殿の祭司長ザカリアのもとへ連れて行きます。
天使ガブリエルから聖霊によって身ごもったことを告げられる『受胎告知』は、この礼拝堂で一番目立つ内陣アーチ(勝利門、アルコ・トリオンファーレ)のまわりのルネッタに描かれています。
『マリアのエリザベツ訪問』で「聖母マリア伝」は終わります。