作品詳細
- Title:スクロヴェーニ礼拝堂②「キリスト伝」
- Artist:ジョット
- Date:1304-1305年
- Dimensions:間口841cm×奥行2090cm×高さ1265cm
- Medium:フレスコ
- Collection:スクロヴェーニ礼拝堂、パドヴァ
スクロヴェーニ礼拝堂(アレーナ礼拝堂)では、「聖母マリア伝」に続く形で「キリスト伝」が描かれています。
右壁面の中央の段に、イエスの最初の5つの物語である『キリストの降誕』『東方三博士の礼拝』『キリストの神殿奉献』『エジプトへの逃避』『嬰児虐殺』があります。
キリストの光輪には十字架が描かれています。
三博士を導く星が、火の玉のように描かれています。このような表現はほかでは見られないので、1301年に出現したハレー彗星と関連があると推測されています。
ヘロデ王が2歳以下の子どもを皆殺しにする命令を出したため、エジプトへ逃れる場面。中世では禁止されていた横顔の表現を、ジョットはいち早く復活させています。
反対側には『博士たちと議論するキリスト』『キリストの洗礼』『カナの婚礼』『ラザロの蘇生』『キリストのエルサレム入城』『神殿から商人を追い払うキリスト』があります。
ガラリヤのカナの婚宴に聖母、弟子たちと招かれたキリストは、水をぶどう酒に変える奇跡を起こします。
祝福のポーズをとり、ロバに乗ってエルサレムに入ったキリストのために、人々は上着や枝を道に敷いています。
その次の『ユダの裏切り』は内陣アーチの脇にあります。
ユダは自分が接吻する人がキリストであると教え、銀貨30枚でキリストをエルサレムの祭司長に売ります。ユダの背後には悪魔が取り付いています。
続きは下層の窓側で、『最後の晩餐』『弟子の洗足』『ユダの接吻(キリストの逮捕)』『カヤパの前のキリスト』『嘲弄されるキリスト』の5場面があります。
ユダとキリストの顔の間の狭い空間にも2人の兵士が描かれ、場面の緊迫感を高めています。聖ペテロは兵士の耳を切り落としています。
その向かいの『ゴルゴダの丘への道』『キリストの磔刑』『死せるキリストへの哀悼』『ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな、キリストの復活)』『キリストの昇天』『聖霊降臨』で「キリスト伝」は終わります。
聖母は膝にキリストを抱き、マグダラのマリアはキリストの足を膝に乗せています。キリストの手をとる青衣の女はクロパの妻マリア、その上部に身をかがめて両手を広げているのが福音書記者ヨハネです。