ビザンティン様式の影響が強く残っていたイタリアでは、13世紀の半ばから新しい市民社会の誕生とともに、新しい表現の絵画を生み出しました。
その代表がシエナとフィレンツェです。
シエナでは、ドゥッチョやシモーネ・マルティーニ、ロレンツェッティ兄弟が優美さや繊細な装飾が特徴の作品を残しました。
フィレンツェではチマブーエが、人間的で自然な表現の聖母子を描きました。その弟子とされるジョットは、聖なる世界をそれまでの平板な表現ではなく、三次元の現実世界に生きる人間のドラマとして演出し、見る人に直接訴えかけました。
ジョットの絵画は、西洋美術史において建築主体だった芸術を絵画主体に変えたことにより、「絵画の時代」の出発点といわれます。