ゴッホ『ドービニーの庭』

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作品詳細

  • Title:ドービニーの庭
  • Artist:フィンセント・ファン・ゴッホ
  • Date:1890年
  • Dimensions:53.2×103.5cm
  • Medium:油彩、カンヴァス
  • Collection:ひろしま美術館

作品解説

この絵は、ゴッホが最後に住んだオーヴェル=シュル=オワーズで、下宿近くにあった画家ドービニーの家の庭を描いています。

同じ構図の作品が2点あり、以前はどちらかが贋作ではないかと議論されていましたが、現在はどちらも真作であるというのが通説になっています。

最初に描かれたものはスイスのバーゼル市立美術館が所蔵しており、まずそちらを戸外で描き、アトリエで描き直したものが本作とされています。

バーゼルの方には手前に黒猫が描かれているが、本作品には描かれていません。

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『ドービニーの庭』(1890年 個人蔵/バーゼル市立美術館委託)

この絵を描いた2週間後にゴッホは自らを拳銃で撃ち、37歳で人生に終止符を打ちました。この作品がゴッホの絶筆であるという説もあります。

その後、絵は弟テオから絵の中にも小さく描かれているドービニー夫人に贈られます。夫人が亡くなった後、画商ヴォラールを経て、1900年の競売で売りに出されます。このときの競売カタログに載っている白黒写真には、黒猫が描かれています。全体のサイズも現在より縦横3センチほど短く、この競売の後で加筆されたことになります。

1901年、この絵を所有していた批評家ルクレルクの友人シュフネッケルが、加筆した人物と目されています。

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『シュフネッケルの家族/ゴーギャン』(1889年 オルセー美術館)・・・ゴーギャンはシュフネッケルの家に居候していたことがあり、そのときの不倫が後に「月と六ペンス」のモデルになったそうです。

その後、1929年ベルリン国立美術館の所蔵となりますが、ヒトラーがモダン・アート全般を「退廃芸術」として弾圧したため没収されます。絵は空軍元帥ゲーリングを経てアムステルダムのユダヤ人銀行家クラマルスキーへ渡り、彼とともにアメリカへ逃れます。息子の代になって絵を手放し、広島銀行が購入して、現在はひろしま美術館に展示されています。