素朴派とは、独学で独自の画風を生み出した画家たちを指す名称で、特定のグループや流派の集まりではありません。
ルソーは素朴派のなかで最も有名ですが、税関に勤めながら絵を描く日曜画家でした。41歳でサロンにはじめて出品しますが、落選。49歳で仕事をやめ、創作活動に専念します。
ルソー「フットボールをする人々」が囚人服なのは、詐欺で服役中だったから。
ピカソはルソーをアトリエ「洗濯船」に招いてパーティーを催し、絵も所有していました。
ルイ・ヴィヴァンは郵便配達夫として60歳過ぎまで働き、退職後に絵を描きました。モンマルトルの丘で開催された、下手な絵の見本市と呼ばれた展覧会に出品していました。
グランマ・モーゼスはアメリカの農家の主婦で、75歳のときに絵を描き始めます。ドラッグストアに並べていた絵が蒐集家の目にとまり、80歳で個展を開き、たちまち有名になりました。子どもの頃の思い出や日常の出来事を描き続け、101歳で死去するまでに、1600点もの作品を残しました。
カミーユ・ボンボワは水上生活をしている両親のもとに生まれ、やがてサーカス団のレスラーになると同時に絵を描き始めました。やがてパリに出て地下鉄の工員、新聞印刷工場の夜間労働者として働き、夜明けから夕暮れまで絵を描くという生活を送りました。
アンドレ・ボーシャンは家業の園芸に従事していましたが、第一次大戦のときに担当した製図がきっかけで、44歳のときに絵を描き始めます。1921年のサロン・ドートンヌに出した作品がル・コルビュジェらの目にとまり、やがて、ロシア舞踏団の舞台装置を担当するまでになりました。