「ケルズの書」は序と四福音書(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ)の本文の写しと装飾で成り立っています。
「ケルズの書」は1007年、教会から盗み出されたと「アルスター年代記」にあり、その後発見されましたが、このとき写本箱や写本の一部が欠損しました。
制作された年や制作者は不明ですが、800年ごろアイオナかケルズで制作されたと考えられています。主要な写字生の制作と他の写字生の制作との間に様式上の不連続性があるため、いったん制作が中断した後、再開された可能性があります。
中世の福音書写本には、語法や綴字が異なる異本が多数存在します。「ケルズの書」の「テキストは、ウルガタ版聖書の「アイルランド系統」版のものです。
「ケルズの書」は現在までに少なくとも5回製本されています。
- 最初の製本
- 1742年 ジョン・エクショーによる
・トリニティ・カレッジ図書館の写本コレクションの総刷新の一環
・回収されたfols 336/335を元に戻す(このとき誤って綴じられ、1953年に正しく綴じられた) - 1826年 ジョージ・マレンによる
・各葉の縁が金箔を施すために切り取られ、装飾部分が失われた
・数ページの欄外に紫の彩色
・もともとあった穴をヴェラムでふさぐ - 1895年 ゴールウェイによる
- 1953年 ロジャー・パウエルによる
・多くの葉によっていた皺をのばして平らに
・マレンの継ぎ当てを取り除く
・写本全体を福音書の構成にしたがって4巻に分割