作品詳細
- Title:システィーナ礼拝堂天井画
- Artist:ミケランジェロ・ブオナローティ
- Date:1510/1536-1541年頃
- Dimensions:間口1338cm×奥行3600×高さ1463cm
- Medium:フレスコ
- Collection:システィーナ礼拝堂、ヴァチカン宮殿
作品解説
システィーナ礼拝堂は、ローマ教皇シクストゥス4世がヴァチカン宮殿の中に建造した礼拝堂で、1508年、ユリウス2世が壁画の制作をミケランジェロに天井画を依頼しました。
自らを彫刻家と考えていたミケランジェロは、当初この大作の注文に反発しましたが、結局引き受け、4年をかけて完成させました。
ここには、ユリウス2世の草案では十二使徒が描かれる予定でしたが、ミケランジェロは「旧約聖書」の「創世記」の9つのエピソードを主題にしました。
天井画は、祭壇から入口に向かって、以下のように並んでいます。
神による創造の3日目の植物の創造と、4日目の天体の創造が1つの絵に描かれています。正面を向いた神の右手が太陽、左手が月を指しています。左には神の後ろ姿が描かれ、差し伸べた手の下に植物が育っています。
ミケランジェロは人体遠近法を巧みに使い、伝統的に静的なポーズで描かれていた神を、躍動感あふれる姿で表しています。
精霊を従えた神がアダムに生命を吹きこむ瞬間。従来、神は地面に立ち、アダムを立ち上がらせようとするポーズで描かれていました
ここでは神とアダムの指先は触れ合っておらず、神は直接触らなくても霊的な力を与えられることを示しています。
絵の左側に、知恵の木に巻き付いた蛇(サタン)から禁断の木の実を受け取るエヴァと、自ら実を取ろうとするアダムが描かれています。
右側には罪を犯した罰として楽園から追放される2人が描かれ、罪を犯す前に比べて容姿が醜くなっています。
絵の左に丘の上に逃れる人々、右に岩の上にひしめく人々が描かれ、ノアや方舟は遠くに浮かんでいます。方舟は、唯一の救いとしてのカトリック教会を意味すると解釈されています。
ノアの部分は最初に手がけたところで、他の部分よりも人物や絵が細かく描かれています。しかし、それでは天井画を下から見上げたときによく見えないとわかったため、あとの部分はシンプルな構図で事物が大きく描かれています。
1-3は天地創造、4-6はアダムとエヴァ、7-9はノアに関する場面に大別されます。
その周囲のペンデンティヴには、旧約聖書の預言者や古代の巫女、ルネットとスパンドレルにはキリストの祖先とされる人々が描かれています。
人物は古代彫刻の理想的な体型に倣って、筋肉質で均整のとれたプロポーションをしており、すべての人体のポーズが意味を持っています。