乾草車を引く妖怪たち、梯子をかけて登ろうとして転倒したのか、乾草をつかんだまま車輪にひかれそうになっている男
さすまたや素手で乾草を取ろうとする者たち、殴りかかる女を止めようとしている神父
酒を飲む僧、せっせと袋に乾草を詰める尼僧、風笛を持った道化と戯れる尼僧
乾草車の上の恋人たち、悪魔と合奏するカップル、キリストを見上げる天使
「それ(左翼)につづく大きな画面で彼は、楽園から追放されたあとこの世に置かれた人間の営みを描き、人間が乾草や藁のような実のならぬ植物にも似た空しい栄光を求めているところを示す。そんなものは、神自身が言われたように、翌日にはもう炉に放り込んでしまうほかないとわかっているのに、である。」
「感覚のよろこびとか、社会での地位とか、野心とか、名声といったものは、乾草の質が束の間しかもたぬように、短命で、すぐダメになるとわかっているのに。」
『聖ヒエロニムス教団史』(ホセ・シグエンサ)
作品詳細
- Title:乾草車(中央) The Hay Wain (center)
- Artist:ヒエロニムス・ボス Hieronymus Bosch
- Dimensions:135×100cm
- Medium:板に油彩 Oil on panel
- Date:1508年以降
- Owner:プラド美術館、マドリード