右翼では悪魔はもはや聖アントニウスを誘惑することには興味がなく、てんでに跳梁跋扈しているように見えます。
「やれやれ、やっと諦めてくれたか」とでもいうような聖アントニウス。全体にボスの描く聖アントニウスはまったく悪魔と“戦う”ところがなく、ひたすら“耐える”という印象。
若い女は、カエルの化け物に酒を注いでいる魔女によって妊娠の妖術をかけられているという説も
テーブルを支える三者三様の男たち。それぞれ全裸にマント、靴下、手袋という恰好で、一人は花瓶に足を突っ込み、一人は悪魔に首を刺され、もう一人はソーセージの垂れ下がったラッパを吹いている。テーブルクロスの下からは魔物が顔をのぞかせている。円卓の上にあるブドウ酒の壺には豚の足がささっている。
作品詳細
- Title:聖アントニウスの誘惑(右翼) The Temptation of St. Anthony (right wing)
- Artist:ヒエロニムス・ボス Hieronymus Bosch
- Dimensions:135×53cm
- Medium:板に油彩 Oil on panel
- Date:1505-10年頃
- Owner:国立美術館、リスボン