作品詳細
- Title:小鳥への説教
- Artist:ジョット
- Date:1290年頃
- Dimensions:359×262.8cm
- Medium:フレスコ
- Collection:サン・フランチェスコ聖堂上堂、アッシジ
作品解説
『小鳥への説教』は、聖フランチェスコが小鳥に説法を始めると、小鳥たちが木の枝から降りて話に聞き入ったというエピソードを描いています。
聖フランチェスコ(1181-1226)は、フランチェスコ修道会の設立者であり、アッシジのサン・フランチェスコ聖堂はその総本山です。
サン・フランチェスコ聖堂は1228年に着工され、1253年に完成しています。聖堂は上堂と下堂から成り、上堂の壁画は1270年代に着手されました。
フランチェスコ修道会の総会長を務めた聖ボナヴェントゥーラは、聖書の内容を耳で聞いただけでは無関心な人々でも、視覚に訴える美術作品によって感情をかき立てられれば信仰へと向かうようになると考えていました。
そのために、民衆の感情を動かすように、聖人がそこにいるかのようにリアリティを持って壁画を描くことが求められました。
ジョットは、ヤコポ・トリーティらと側壁の上段に『旧約伝』『新約伝』を制作し、下段の壁面に『聖フランチェスコ伝』を描きました。
『旧約伝』『新約伝』の制作で技量を認められ、この聖堂においてもっとも大事な壁画である『聖フランチェスコ伝』を依頼されたと推測されます。
『聖フランチェスコ伝』は28枚にも及ぶ連作壁画で、聖ボナヴェントゥーラによる「レゲンダ・マイヨール(大伝記)」をもとに描かれています。
聖フランチェスコを地面の鳥たちが取り巻くことで、画面に三次元の広がりが生まれています。
『小鳥への説教』は出入り口の脇に、『喉の乾いた人の奇蹟』と対になって描かれていますが、外気の影響を受けるためか傷みが激しく、かなりの鳥の顔料が剥落しています。また、顔料に含まれる鉛白のために、黒く変色している鳥もいます。
手の周りの青が周囲の色と違うのは、ジョルナータ法によって描かれたためです。