ラヴェンナは今でこそ、人口15万程度のこじんまりとした地方都市ですが、かつては西ローマ帝国や東ゴート王国の首都でした。
サン・ヴィターレ教会
ラヴェンナが東ローマ帝国の総督領だった頃(6世紀)に建てられたサン・ヴィターレ教会。
八角形という珍しい形をしたビザンティン建築。
内部は初期ビザンティン美術のモザイク画で装飾されています。
有名な「ユスティニアヌス1世と随臣のモザイク」。ユスティニアヌス1世は黄金のパテナ(聖体皿)を持ち、皇帝の色である紫のクラミュスをまとっています。
修復作業中で足場が邪魔…ですが、イタリアみたいな古い時代のものが観光資源のところは仕方ないですね。絶え間ない修復のおかげで、いい状態の美術品が見られるわけですし。
大天使を従え、聖人ウィタリス(サン・ヴィターレ)に冠を与えようとするキリスト。右端は聖堂建設の発起人であるエクレシウス。
ガッラ・プラキディア廟堂
ガッラ・プラキディアはローマ皇帝テオドシウス1世の娘で、息子が幼くして西ローマ帝国ウァレンティニアヌス3世として即位したため、長きにわたって女皇帝として君臨しました。
西ゴート族の人質になり、その王と結婚するも、夫が殺害されたことで再び人質になり、今度は前夫の敵と結婚させられ…と激動の人生を歩んだ女性です。
クーポラに星と十字架、四隅には四人の使徒の象徴(ワシは聖ヨハネ、獅子は聖マルコ、牛は聖ルカ、人間は聖マタイ)。
その下に十字架を仰ぎ見てたたえる聖人と水盤に集まる鳩。
十字架を持ち、熱した鉄格子の上で火あぶりにされようとする聖ラウレンティウス(サン・ロレンツォ)。
ガッラ・プラキディア廟堂はもともとは廟ではなく、当時ラヴェンナで崇敬されていた聖ラウレンティウスに献げられた礼拝堂という説もあります。
サン・ヴィターレ教会より少し時代をさかのぼり、5世紀に建設されています。
左の書庫には、四使徒の名前を記した福音書が収められています。