南北に走る通路の両側には5~9階建てのアパートが林立し、それらは各階毎に互いにブリッジや斜路で連絡しており、島全体が一体のアパートを形成しているかの如くである。隣棟間隔はきわめて狭く、中に立って上を見上げると谷底にいるような気分になる。(片寄俊秀「軍艦島の生活環境」『軍艦島の生活<1952/1970>: 住宅学者西山夘三の端島住宅調査レポート』より)
下階部分はほとんど日照を望めず、湿気も強く、見るからに居住性は悪そうであるが、上階部分や島の中央高地部は見晴らしもよく、日照条件も良くて居住性も決して悪くはなさそうである。高い部分に職員層、低い部分に鉱員層、最も居住性の悪いところに下請労働者層が居住するという、ヒエラルキーと高さおよび居住性とのあまりにも明瞭な関係は、この島の良く知られた特徴のひとつである。(片寄俊秀「軍艦島の生活環境」『軍艦島の生活<1952/1970>: 住宅学者西山夘三の端島住宅調査レポート』より)