初期ルネサンス

初期ルネサンス

14世紀は一般的には中世に含まれますが、イタリアではダンテやペトラルカ、ボッカチオが写本の形で残された古代ローマ文学を発掘して、それまで神学の陰に埋もれていた人間の世界に再び目を向けようとしました。

そこでこの時期を、ルネサンスの準備段階としての「プロト(原)・ルネサンス」と呼んでいます。

その精神はダンテの友人だったジョットによる造形表現の革新につながりました。こうした刷新の動きは14世紀半ばにイタリアを襲ったペストの流行によって一時頓挫するものの、15世紀初めから再度活発となります。

美術においてルネサンスが本格化するこの15世紀は、初期ルネサンスとして区分されます。

15世紀後半のイタリアでは、職人芸術家を庇護した権力者の要望を反映して、宗教主題の中に注文主の肖像や当時の都市の景観が挿入されました。また、神話の主題に基づくエロティックな表現も登場し、美術はそれまでになく世俗化しました。

同時に、社会的に低い位置に甘んじていた職人芸術家たちは、表現にいっそうの創意と洗練を加えて、しだいにエリートになっていきました。

注文が増えたことで、大工房も形成され、なかでもボッティチェリは、フィレンツェのメディチ家や周辺の有力者に気に入られて時代の寵児になりました。