縁先物語

Harunobu_Lovers on a veranda

作品詳細

  • Title:縁先物語 Lovers on a veranda, the young attendant (kamuro) peeping through the shoji.
  • Artist:鈴木春信 Suzuki Harunobu
  • Date:Edo period, circa 1770
  • Medium: Woodblock print (nishiki-e); ink and color on paper
肩を抱き手首をおさえて少年にささやきかける年かさの女は、障子の陰からのぞき見る娘の、乳母か侍女というところであろう。主人と仰ぐ乙女のみずからは打ち明けかねる慕情を、代わって届ける恋の仲介者とはなったものの、なまめかしい年増女の風情をかくしきることはできない。まだ前髪をのこす紅顔の若衆に、熟しきった大人の口説を吹き込んで誘惑してでもいるかのような、あやしいそぶりがうかがえる。萩の花が咲く秋の縁先という日常的な舞台の上で、ただならぬ恋の情趣を纏綿とうたいあげるところなど、春信得意の絵画世界といえるであろう。(小林)
『原色日本の美術17 風俗画と浮世絵師』