16世紀のネーデルラント絵画

16世紀のネーデルラント絵画

15世紀のネーデルラント絵画は、写実表現においてイタリアに影響を与える存在でしたが、16世紀にはいると地位が逆転し、イタリアを古典・古代美術の手本として仰ぐようになります。

多くの画家がイタリア各地を旅行し、遠近図法や理想的な人体表現を習得しました。イタリア絵画に傾倒し、ルネサンス美術を取り入れた画家たちは、ロマニストと呼ばれました。

その一人、クエンティン・マサイスの描く女性像はレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」を思わせる顔つきで、スフマート技法が用いられた作品もあります。

そのほか、ヤン・マビューズ、ヤン・ファン・スコーレル、ベルナルト・ファン・オルレイらがロマニストとして知られています。

その一方で、伝統的なゴシック世界にとどまりながら、新しい表現を追求したボスが現れました。ボスは、中世以来慣れ親しまれた宗教的主題を描きながらも、罪に満ちたこの世と地獄の情景と、かつてないほど生き生きと表現しました。 “16世紀のネーデルラント絵画” の続きを読む

ボス

ヒエロニムス・ボス(Hieronymus Bosch)

Jheronimus_Bosch

  • 15-16世紀の初期ネーデルラントを代表する画家。伝統から逸脱した独自のヴィジョンで幻想的な地獄や悪魔を描いた。
  • ボスが所属していた「聖母マリア兄弟会」は「共同生活兄弟会」(神秘主義者ヤン・ファン・ロイスブロークに傾倒するヘラルト・フローテが創設)という宗教団体に影響を受けていた。ボスも感化を受けたと推察される。
  • パトロンはほとんど知られていないが、初めは所属していた「聖母マリア兄弟会」の会員、そこから各地の君主にまで及んだと考えられている。
  • 30点余りの油彩画と20点余りの素描が真筆とみなされているが、工房作品や模写も多く、研究者でも判断が分かれている作品もある。
  • 画業が長く、人気もあったのに現存している作品が少ないのは、1566年のイコノクラスム(聖像破壊運動)のため。1629年、スヘルトーヘンボスが新教区になったことも影響している。
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